どうも、やまちゃんこ鍋(@yamachan_konabe)です。
今日はたまたま手にとった本が、思いのほか良い本だったので紹介しようと思います。
目次
『飲茶の「最強!」のニーチェ』はどんな本?
表紙には美少女のアニメキャラが描かれた名著を分かりやすくお伝えします系の本です。
中身はマンガというわけでなく、先生と生徒の対話形式で書かれています。
哲学とはなにか?というところからはじまって、ニーチェの「哲学」について、分かりやすく書かれています。
哲学を全く知らない人でも、問題なく楽しんで読める内容に仕上がっていますので、入門書としてもお薦めです。
作者について
飲茶(やむちゃ)
北国生まれ。東北大学大学院修了。気は難しくて筆不精、一冊書き終えたあとは、毎回、担当編集たちに「オレもう二度と書きませんから」と引退宣言をする、かまってちゃんの空前絶後の哲学作家。最近は、ソクラテスちゃんやニーチェちゃんが出てきて「きゃっきゃっウフフ」する萌え哲学漫画『てつがくフレンズ』(PHP研究所)の原作を書いたり、人前で話せないと何度も言ってるのに騙されて何百人の前でトークイベントやらされたり、精力的に活動中。著書に『哲学的な何か、あと科学とか』(二見書房)、『史上最強の哲学入門』(河出文庫)など。
この本を読む前の僕の「哲学」に対するイメージ
僕はこの本をたまたま手に取って読んだのですが「哲学」と聞くと、屁理屈をさらにこねくりまわしたような論理が書かれているものだと思っていました。
また「哲学」を愛好している人はなんとなく不幸そうで、人生に悲観していそうなイメージもありました。
でも、この本を読んでそのイメージは覆されました。
「哲学」はむしろみんなが人生を楽しんで生きれるようにと考えられた学問なのだと知りました。
以下に、この本の内容を抜粋していきますので、興味が湧いた人はぜひ読んでみてください。
今日まで悩んでいたことがバカらしくなって、希望を持って生きれるようになるかもしれません。
本の内容まとめ
哲学ってなに?
- 哲学には「白哲学」と「黒哲学」に2種類がある。
- 「白哲学」とは「本質=物質以外のこと(観念/概念)」について考える学問。
- 「本質」とは例えば、愛とか正義などのモノを超えた存在のこと。
- 「黒哲学」とは「実存(現実存在)」について考える学問。
- 「実存」とは現実の存在のこと。
- 「黒哲学」は「本質」についてばかり考えている「白哲学」を批判するために生まれた学問。
- ニーチェは2000年もの歴史ある「白哲学」を批判し、新しい哲学の流れを生み出した「黒哲学」の偉人。
人生に意味はないってホント?
- 「ありもしない架空の価値観」を信じ込んで不幸になっていないか、「背後世界」の構図で確認するべし。
- 「背後世界」とは外部(社会)から押し付けられた価値観のこと。
- 人間は実存(現実の存在)であり、生まれながらの「生きる意味」など持っていないが、すべてに意味がないとしてしまうと、人間は「ニヒリズム(虚無主義)」に陥って「生の高揚(充実感)」を失ってしまう。
- ニーチェは、現代において「末人(忙しく働いて暇を潰すだけの人間)」が現れるだろうことを予言した。
- ニーチェの名言「神は死んだ。」とは宗教、恋愛、仕事、人生の支えになるあらゆる絶対的な価値観は、遅かれ早かれ、いつか必ず壊れるという意味。
道徳なんで弱者のたわごと?
- 「能力的に優れた人」より「大人しくて弱そうな人」の方が「善い人間」に見えるのはキリスト教の影響だとニーチェは主張する。
- 奴隷にされたユダヤ人の「ルサンチマン(嫉妬)」が道徳の起源であるとニーチェは主張する。
- 「奴隷道徳」とは「嫌なことに文句を言わず受け入れる人が善い」という不自然な価値観のこと
- 「奴隷道徳」は「背後世界」の構図で確認すべし。「架空の価値観」を持ち出して「現実の気持ち」をごまかして生きていないのか、自分自身を振り返ってみる。
死にも未来にも意味はない?
- 「永劫回帰」は、「最強最悪のニヒリズムの世界(すべての価値観が崩壊してしまうほどの最悪の世界)」であり、宇宙全体が永遠に同じことを繰り返すことである。
- 「永劫回帰」は哲学の発展のためにニーチェが想定したものなので、理論的説明についてはフィクション(方便)であると考えて構わない。
- 「永劫回帰」を乗り越えるには、「今、この瞬間を力強く肯定して生きよう」という強い意志が必要である。また、そういう意志を持つ人間を「超人」と呼ぶ。
- 「未来に目指すべき何かがある」という西洋的な思考法はいつか必ず破綻する。現実の「今この瞬間」を肯定して生きていくことが大切である。
それでも哲学を学ぶことで生き方が変わる
- 「黒哲学」の核心は、「あなたという現実の存在(実存)をないがしろにする非現実的な価値観の正体を暴きたて破壊すること」にある。
- 人間は誰しも「力への意志(より優れたものを目指したいという想い)」を持っており、それを芸術に昇華させることが「幸福」にいたる道である。
著者の想い
- 障がいや不条理な現実に苦しむすべての人々が、みな自分なりの楽しみ(芸術)を見つけて、他人の顔色をうかがわず、幸福に生きられますように!そして、あなたにもニーチェの贈り物が届きますように!(原文ママ)
感想
上記のまとめを見ればざっくりと本の内容はわかるかと思いますが、わかることと理解することは違います。
生徒役のアキちゃんと著者である飲茶さんの対話を通すことで1つ1つのニーチェの主張に腹落ちできる文章になっているので、ぜひ全文を読んでほしいと思います。
飲茶さんがまえがきにて「初心者向けのゆるい本に思えるかもしれませんが、その体裁は取りつつも、きちんとニーチェの核心が伝わる本が書けたと自負している」と自信を覗かせているように、入門書でありながら、読後に残るものがある良本だと感じました。
本の中で飲茶さんが哲学を学ぶきっかけとなった、自身の苦しい経験について語られているのですが、その部分があったことで他の初心者本とは一線を画す仕上がりになったのではないかと個人的には思います。
また、飲茶さん自身が哲学によって救われたからこそ、他の方にもそれを伝えたいという思いで書かれているためその思いが文章に乗っているような気もしました。
少なくとも僕にはそう伝わりました。
日々の生活の中で、悩んだりした際にはまたこの本を開きたいと思います。